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名古屋地方裁判所 昭和55年(わ)262号 判決

本籍並びに住居

愛知県岡崎市羽根町字若宮四番地二

歯科医師

鳥居廣彰

昭和一二年八月六日生

主文

被告人を懲役一年六月及び罰金三、〇〇〇万円に処する。

右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。

訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、愛知県岡崎市羽根町字若宮四番地二において鳥居歯科医院の名称で歯科医業を営んでいるものであるが、自己の所得税を免れようと企て、診療収入の一部を除外して簿外の投資信託を取得する等の方法により所得の一部を秘匿したうえ、

第一  昭和五一年分の実際所得金額が八、二九四万八、五四七円で、これに対する所得税額が四、五四一万七、七〇〇円であったのにかかわらず、昭和五二年三月一四日、愛知県岡崎市明大寺本町一丁目四六番地の岡崎税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、二一三万二、一八三円で、これに対する所得税額が五九五万七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により正規の所得税額との差額三、九四六万七、〇〇〇円の所得税を免れ

第二  昭和五二年分の実際所得金額が八、九〇四万四五四円で、これに対する所得税額が四、九六五万二、三〇〇円であったのにかかわらず、昭和五三年三月一四日、前記岡崎税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二、九五九万九六八円で、これに対する所得税額が九七一万八、六〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額三、九九三万三、七〇〇円の所得税を免れ

第三  昭和五三年分の実際所得金額が九、三六五万一、七七一円で、これに対する所得税額が五、二八一万一、二〇〇円であったのにかかわらず、昭和五四年三月一四日、前記岡崎税務署において、同税務署長に対し、所得金額が三、五一一万三、四六一円で、これに対する所得税額が一、二五八万六、四〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書を提出し、もって右不正の行為により正規の所得税額と右申告税額との差額四、〇二二万四、八〇〇円の所得税を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一  被告人の当公判廷における供述

以上のほかは検察官請求証拠等関係カード(甲)番号1から3、5から33及び同カード(乙)2から18記載の各証拠と同一であるから、これらを引用する。

(法令の適用)

構成要件該当法令 各所為は、いずれも、所得税法二三八条(懲役刑、罰金刑併科)。

併合罪の加重・合算 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(昭和五三年逋脱罪の刑に)、四八条二項。

労役場留置 同法一八条。

懲役刑の執行猶予 同法二五条一項。

訴訟費用の負担 刑訴法一八一条一項本文。

よって、主文のとおり判決する。

(検察官水上進、弁護人笹岡龍太郎公判出席)

(裁判官 油田弘佑)

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